NBIのソリューション

イノベーションの推進

イノベーションの方向を見定める

イノベーションの方向を見定める

 イノベーションに苦戦する日本企業は多く、長期雇用に起因する「ゆでガエル」から脱却できない企業が多く見受けられます。多くの領域においてイノベーションの達成率は低く、日本企業の経営は世界の周回遅れになっています。

 困難の原因となっているのが、イノベーション・ジレンマです。既存資産の負債化や、企業文化の限界など様々な障害が待ち受けています。これらの障害の存在を考えたとき、可能性は360度の全方位ではなく、ある限られた方向でしか実現できないことが分かります。すなわち、イノベーションの方向を見定めることが重要です。

 イノベーションの可能性は、少数のシナリオに絞り込むことができます。当社は外形情報分析を通じて、イノベーションを実現する方向について検証し、「方向性のシナリオ」を仮説として組み立てます。その後、作りこまれた構造化インタビューを関係役員に実施することで、絞り込んだシナリオの中から可能性のある変革シナリオを探し出します。ここで当社は「経営の集合知」を形式化しますが、それ以上の提言は行いません。自社の思想の中から内発的に取り出せるイノベーションの可能性こそが、日本企業の経営者が選択しうる、最善の選択になるからです。

経営者の「変革ビジョン」を作り出す

経営者の「変革ビジョン」を作り出す

 実現すべきイノベーションの方向性が見えたのちに、「変革ビジョン」をワークショップにおいて構築します。その理由は、強いリーダーシップを作り出すためです。
 成長期において強いリーダーシップは必要とされませんが、創業期と変革期には経営者の強い関与が不可欠です。つまり、平時の運営から、ビジョンをもって変革するリーダーシップに転換する必要があります。

 イノベーションのために構築される変革ビジョンは、自らの言葉で語れる、その企業独自のものである必要があります。なぜイノベーションが必要なのか。この点において共感が得られない限り、社内の抵抗によってイノベーションは自滅してしまうリスクがあります。だからこそ表面的な建前ではなく、腹落ちできる理由とビジョンが求められます。

 ワークショップに先立ち、当社はイノベーションの方向を見定める作業を通じて、可能性のある道筋を既に絞り込んでいます。あとは経営者自らが語る言葉、真に共感を得られる思いを形にし、具体的なビジョンを絵や言葉として構築してゆきます。このワークショップにおいてはデザイン思考のプロフェッショルをファシリテーターとして登用し、具体的なデザインとして可視化してゆきます。

「じぶん事」の実現:組織を巻き込むデザイン思考

「じぶん事」の実現:組織を巻き込むデザイン思考

 ビジョン構築後には、デザイン思考を活用した現場向けのワークショップを開催します。ここでは、3つの効果が得られます。

 第一に、ユーザー体験を起点とするデザインが構築されます。インタビューやエスノグラフィを通じて、需要を的確に捉える検証が繰り返され、実践的なビジネスのデザインを構築します。デザイン思考というとプロトタイプやビジュアルデザインが注目されますが、それは商品開発のイメージに過ぎません。デザイン思考の本質は、ユーザーの体験から需要をデザインすることです。

 第二に、組織を巻き込んだ事業開発が可能になります。メンバーの活発なブレスト/ディスカッション/自身が参加する仮説検証が繰り返されるため、次第に参加者全員が巻き込まれてゆきます。

 第三に、「じぶん事」化が達成されます。日本企業は内向きの共同体であり、成果主義を採用していないため、多くの社員にとって、「ひと事」が「じぶん事」に変わるまでの間に壁があります。しかし、自らが参加する作業を通じて、完成したデザインが真に「じぶん」のものに変わります。これは「ひと事」が「じぶん事」に変わる一連のプロセスは、日本企業の経営において、最も重要なプロセスです。