NBIのソリューション

DX経営・アジャイル開発

DXを「経営」として再定義する

DXを「経営」として再定義する

 経営者は、「わが社流のDX」を定義する必要があります。その理由は、すべてのDX活動が、すでに経営の問題になっているからです。人が行う業務をITに置き換えるだけなら、過去に消化しています。それを超える生産性向上を求めるのであれば、組織/働き方/ベンダーとの関係/情報システム部のあり方を見直すしかありません。これらは情報システム部が解決できる課題の限界を超えており、すべて経営問題です。

 過去、日本企業は雇用調整ができないためにITの開発と運用をシステムインテグレーターに丸投げし、社内では「弱い情シス」を作ってきました。情シス部門は発注兼クレーム受理窓口に留まり、ITを経営に活かせる状態にありません。この閉塞した状況を変えるためには、企業内のITエコシステムを全体像として捉え、情報システムだけでなく、組織/業務/ITエコシステム/投資手法の全体像を経営レベルで再点検する作業が有効です。

 DXを経営として捉えると、人材育成やトレーニングの問題に行きつきます。役員の意識改革やDXビジョンの構築が必要になります。こういった変革の契機を得る機会を設けることによって、当社は「じぶん事としてのDX経営」を可視化する支援をしています。

超上流において「DX研究会」を開催する

超上流において「DX研究会」を開催する

 日本企業にみられる傾向として、ITに対する投資が過少になりがちです。それは「システムは3。組織が7」とされるIT投資において、組織対策を講じてこなかったからです。また、開発ありきで発注に動き、結果的に効果を小さく捉えた開発になっているケースも見受けられます。

 当社は上流工程の要求開発や発注に先立ち、「DX研究会」の設置を提案しています。開発に先だち、必要な組織学習を実施し、開発に必要な環境整備や情報システムの周辺投資に目を向けるためです。例えば、アジャイル開発において重要なスクラムを効果的に実践するためには、人材開発や適正な人選が必要になり、これは組織の問題です。システムの周辺状況を把握することなく、ビジネスのゴールを曖昧にしたままRFPを作るのは、開発技法や業者選定を誤る原因になります。このような拙速な開発を防ぐためには、事前の調査と研究が必要です。

 当社は事例分析/システム調査/経営者/ユーザーからのヒアリング等を組み合わせ、DXの全体像/ゴール/ビジョンを可視化する支援をしています。大まかな輪郭として情報システムの未来像を具現化することで、その後の業者選定や開発技法、組織運営のあり方が大きく変わります。

アジャイル開発で情報システムを「民主化」する

アジャイル開発で情報システムを「民主化」する

 日本型経営とアジャイル開発は相性がよく、情報システムを「民主化」できる良い機会になります。第一に、アジャイル開発はベンダーを下請けとして使うのではなく、協業のパートナーとみなします。協業すれば参加者からの意見をくまなく吸い上げることが可能になり、社内の「集合知」を取り込むことができます。これは一部のコンサルタントに任せてきた要求定義が、民主的な意思と要求に取って代わることを意味します。

 第二に、情報システムの開発がより「じぶん事」と感じられると同時に、社内のIT組織全体が強くなります。情報システム部門は従来のクレーム窓口から脱し、より積極的に情報システムの変革に関与することができます。「ベンダーの下にあるブラックボックス」が、実際に「我々のシステム」に変わる効用は大きいでしょう。

 日本企業は、これまで情報システムを「ひと事」として捉えてきました。しかしIT投資の持つ役割が大きくなり、戦略的な重要性が高まる中で、いつまでも「ひと事」として放置できる時代は終わっています。情報システムを民主化し、自分たちにとってより使いやすく、戦略的な役割を担わせるために、当社はアジャイル開発による社内変革を支援しています。